“はじまりの地”の物語を訪ねる

「国の中心を3つの山が護る」という思想の下、本格的な律令国家を目指す天武天皇が飛鳥(現明日香村)から新たな都の地として選んだのが大和三山(香具山・畝傍山・耳成山)がある藤原京(現橿原市)でした。天武天皇亡き後、遺志を受け継いだ持統天皇は、この地で様々な〝日本初”の大仕事を成し遂げました。
694年に大和三山に囲まれた藤原宮を中心に、日本で初めて碁盤の目状に道が通る大都市・藤原京を完成させました。そこで日本初の法律「大宝律令」が制定され、さらに、それまで「倭国」と称していた国名を「日本」と名乗り、対外的に初めて示したのも、長らく途絶えていた遣唐使の派遣を再開させた藤原京の時代なのです。これらはまさに「日本」という国のはじまり。その原点といえる地で、国づくりの面影残る持統天皇ゆかりの地を巡りませんか?
藤原宮跡
藤原京の中心に位置し、持統・文武・元明の三代の天皇が政治を執り行った場所です。大極殿南門と朝堂院南・東・西門の位置を示す朱色の柱が野原に立ち並ぶ。春は桜と菜の花、夏は蓮、秋はコスモスなどお花見スポットとしても人気です。
大和三山(畝傍山・香具山・耳成山)
多くの逸話や歌が残る山々。なかでも香具山は古事記や万葉集で「天香具山(あまのかぐやま)」と呼ばれる特別な存在で、神話「天岩戸伝説」の舞台ともいわれています。
「春過ぎて夏来にけらし白砂の衣ほすてふ天の香具山」という歌は、持統天皇が白い衣が干されている香具山を見て、夏の訪れに気づくと同時に、平穏な時が流れていることにほっとして詠んだ歌です。
藤原宮跡から望む朝・夕の大和三山の稜線が特に美しいといわれています。(写真/藤原宮跡から見た香具山)
本薬師寺跡(もとやくしじあと)
平城京薬師寺の前身にあたり、藤原宮跡の南西に位置する寺院跡。国の特別史跡に指定されており、金堂跡の大きな礎石や東西両塔跡の基壇や礎石を見ることができます。金堂基壇の上には15個の巨大な礎石が残っています。
文武天皇の時代に、持統天皇の病気平癒祈願のために夫・天武天皇が建立を開始し698年に完成しました。
奈良県立橿原考古学研究所附属博物館
実物資料を中心に展示する「目で見る日本の歴史」がテーマの博物館。2021年にリニューアルオープンし、原寸大の法隆寺壁画や高松塚古墳壁画の複製陶板、国内最大のメスリ山古墳の円筒埴輪など臨場感ある展示に!
奈良県立橿原考古学研究所附属博物館
- 電話番号
- 0744-24-1185
- 住所
- 橿原市畝傍町50-2
- 営業時間
- 9時〜17時(最終入館16時30分)
- 定休日
- 月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始、その他臨時休館あり
- 平均予算
- 小・中学生200円、高校・大学生300円、一般400円 ※特別展開催期間中は、常設展の観覧にも特別展入館料が必要
橿原市藤原京資料室
藤原宮跡の一角にあり、当時の藤原京の様子を詳細に再現した1000分の1サイズの藤原京復元模型がみものです。藤原京から出土した土器などの展示のほか、当時の暮らしや藤原宮を再現したCG映像も上映。展望室からは藤原宮跡や香具山を一望できます。
橿原市藤原京資料室
- 電話番号
- 0744-21-1114(橿原市世界遺産登録推 進課)
- 住所
- 橿原市縄手町178-1(JAならけん橿原東部経済セン ター2階)
- 営業時間
- 9時〜17時(最終入室16時 30分)
- 定休日
- 月(祝日の場合は翌日)、12月 25日〜1月5日
- 駐車場
- 約30台